今回、先ずはインボイス制度をダイジェストとして知ってもらおう!そんな記事にしました。
インボイス制度という言葉や、インボイス制度が消費税に関係している、というのを知ってらっしゃる人は結構いるのですが、現時点で制度の中身を詳しく知ってらっしゃる人は?となると、その人数は激減しているというのが、私の印象です。
『インボイス制度って何?!』
『誰が対象なの?』
『いつから始まるの?』
『何をすればいいの?』
という、シンプルな内容に絞ります。
インボイス制度の更なる詳しい解説は、今回とは別にあらためて書くので、それも是非お役立て下さい。
では、始めましょう~!
「インボイス制度」って何?!
消費税の取りっぱくれを防ぐため、国が考えた制度です。
もう少し綺麗な言葉で表すと~
消費税を公平・公正に徴収するため、国が考えた制度です(笑)
消費税が8%⇒10%に上がった際、一部の物品は軽減税率が適用され、8%据え置きになりました。それまで消費税率は1つでしたが、軽減税率が出来た事で2つの消費税率が存在し、今(2021年12月現在)もそれは続いています。
2つ存在する消費税率について、事業者が間違いなく「分別⇒計算⇒納税」という流れを整えるのが主たる目的の1つでもあるようです。
そして。
この項の冒頭に書いた「消費税の取りっぱくれを防ぐため」これね。
実は、これがインボイス制度の一番大きな目的だと思っています。
それは、益税対策です。
基本、消費税は課税事業者さんにとって損も得もしません。
しかし、その事業者さんの”状態”によっては、得になるケース。いわゆる益税になる事があります。国は、それを潰したいという意思をインボイス制度に込めていると思います。
※いつから施行されるの?
令和5年(2023年)10月1日からインボイス制度が施行されます。
今(2021年12月現在)から、施行されるまで若干先の話かも?ですが、会計士さん税理士さん、また深い関心を持つ事業者さんは、すでにインボイス制度に対応する動きをし始めています。
施行された後、6年間にわたって2段階の経過措置が設けられていますが、インボイス制度の影響をモロに受ける事業者さんは、こんな経過措置・・なーんも嬉しくないです(笑)
なので、インボイス制度が施行された時点からしっかり対応出来るよう、必要な備えをして臨んで頂きたいです。
インボイス制度は「誰が」対象なの?
対象は、消費税の課税事業者さん(個人事業主・法人)です。
しか~し!
「インボイス制度、関係するのは誰?」と問われたなら、答えは変わります。
消費税を税込で事業取引されている、全事業者さんです!
全事業者さん。
- 課税事業者
- 免税事業者
どちらの事業者さんにも関係する制度となります。
課税事業者でも免税事業者でもない事業者さんがいるとするなら。それは…謎のままにしておくのか。どちらかの事業者さんとなるのか。お考え下さい(笑)
インボイス制度の一番大きな「特徴は」何?
このインボイス制度、代金を支払っている側に、とてつもなく大きな影響がある制度なんです。
もし、貴方の会社が、インボイス制度に登録してない事業者さんへ取引代金を税込で支払った場合。
支払った消費税が、決算時に仮払消費税として計上出来なくなるのです!
それって…どういう事になるのか!?
例えば、ある売上と支払、それに伴う消費税が下記のようだったとします。
- 売上:550万円(消費税50万円)
- 支払:220万円(消費税20万円)
上記の場合、
- 売上で預かり受けた消費税:50万円
- 支払で預かり払った消費税:20万円
差額:30万円
なので~
貴方の会社が納税するのは、30万円です。
それがですね・・・
インボイス制度に登録してない事業者さんへ取引代金を税込で支払った場合・・・
上記と同じ売上と支払の金額で比較します。
- 売上:550万円(消費税50万円)
- 支払:220万円(消費税20万円)
上記の場合、
- 売上で預かり受けた消費税:50万円
- 支払で預かり払った消費税: 0万円
差額:50万円
となり~
20万円の消費税を払っているにもかかわらず~
貴方の会社が納税するのは、50万円になってしまうのです。
「支払で預かり払った消費税」の事を、専門用語で「仕入税額控除」と言うんですが、この控除を受けられないという、恐ろしい事態になるんです。
では、支払った20万円はどうなるのか?これ、経費として計上は出来ます。
しかしですよ。
経費計上で得られるであろう節税効果と、余分に払う消費税、これ比べたら…確実に損ですよね。
加えて~
本来の経費って、事業にとって「何かを得るため」に使ったお金です。しかし、このお金はただ支払っただけのお金で、何も得られてません。
そもそも、消費税は正常に取り扱えば「預り金」なので、損も得もしないハズなのに、インボイス制度に登録してない事業者さんへ取引代金を税込で支払うと…貴方の会社が損してしまう可能性が生じるのです。
これは、絶対に避けたい事態ですよね。
という事は。
貴方の会社へ事業代金を支払っている取引先さん(課税事業者)は、貴方の会社がインボイス制度に登録しているかどうか?大きな関心事であり、その取引先さんにとって大きな影響を及ぼす事になります。
インボイス制度に「対応する」には?
インボイス制度に対応するためには、インボイス発行事業者としての登録が必要になります。
「適格請求書発行事業者の登録申請書」という、長ったらしい名称の申請書を、課税事業者さん自ら、事前に本店住所の管轄税務署へ申請(郵送)します。
この申請書、税務署に行けばあります。また、国税庁のホームページにもデータで取得出来ます。
貴方の会社に顧問税理士がいれば、税理士が申請してくれます。今後、事業者の顧問をされている多くの税理士が申請手続きをすると思います。
インボイス発行事業者の登録申請は、令和3年10月1日から開始されているので、もう申請可能です。
そして、インボイス制度が施行される、令和5年(2023年)10月1日から適用を受けるには、原則として~令和5年(2023年)3月31日までに登録申請手続きをする必要があるとの事です。
インボイス発行事業者の登録が完了したら、「どうする」の?
- 「適格請求書発行事業者の登録申請書」を申請後~
- 貴方の会社の管轄税務署名義で発行された「適格請求書発行事業者の登録通知書」が、貴方の会社宛てに郵送される
- 通知書に、登録番号が載っている
- その登録番号を、貴方の会社が発行する請求書に記載する
という流れになります。
登録番号を、請求書のどこに記載すれば良いか?
請求書の発行者として、請求書の右上とかに、貴方の会社の住所や社名を記載されていると思いますが、その一番下に記載すれば宜しいのではと。
【例として】
〒○○○-○○○○
〇〇県○○市○○町〇〇-〇-〇 ○○ビル〇階
株式会社○○○○
登録番号:**-****-****-****
こんな感じでしょうか。
発行する請求書(インボイス)に登録番号を記載するのは、インボイス発行事業者としての条件の1つでもあるので、必ず記載して下さい。
請求書に登録番号が記載されていれば、請求書を受け取る取引先さんが「お、インボイス発行事業者の登録してるね」となり、それはある種の「与信」として安心材料にも繋がります。
免税事業者さんは、インボイス発行事業者の登録が出来るのか?
一定の条件を満たしている場合、その事業者さんは免税事業者となります。
そして、インボイス制度は課税事業者さんが対象です。
という事は・・
免税事業者さんは、インボイス制度に対応するための登録が出来ないのか??
出来ます。
それが、
「インボイス制度、誰が対象なの?」という項で、消費税を税込で事業取引されている、全事業者さんに関係する。と書きました。
登録そのものは「インボイス制度に対応するには?」の項で書いた流れと同じです。
登録するにあたり、注意して頂きたい点があります。
免税事業者さんが、インボイス制度に対応するための登録をするという事は「免税事業者⇒課税事業者」になるのを意味しています。そうなる事が、その免税事業者さんにとってメリットになるのか、デメリットになるのか、一概には言えません。
その点、よくご検討下さい。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回のインボイス制度のダイジェスト。
インボイス制度については、すでに多くのWEBコンテンツや動画で発信されています。皆さんが分かりやすいと思える情報の1つになっていれば嬉しいです。
冒頭にも書きましたが、インボイス制度の詳細については、あらためて書きますので~是非そちらも併せてご活用下さい!