事業の売上が悪化して消費税が払えない?大丈夫!「中間納付を仮決算して納付」で解決!

資金繰り。

会社を経営する者にとって、この言葉の持つ意味はとてつもなく大きいですよね。

今回書く記事は、その会社の状況によっては、一時的ながら~資金繰りを改善する&助けるであろう手段の1つについて書きたいと思います。

今現在、消費税を納付している会社さん(消費税課税対象事業者)全てに当てはまる内容です。

とはいえ、書く内容はかなり特化しています(笑)

どんな事か!?

消費税の中間納付がある会社さんで、前期より今期の事業状態や売上が激しく落ちている場合。消費税の中間納付をする手段の1つとして存在する「消費税の仮決算申告による納付」についてです。

今回の記事を書くキッカケになったのは、私の知人の独り法人さんで3ヶ月前に起こった実際の話が元になっています。

「知らない」というのは、時として本当に悔しい思いをします。(…場合によっては知らない方が良い事もありますけどね・・)

私の知人にこの事を伝えたら、「えー?それ、知っていればな~~!!」って、天を仰ぎながら悔しそうな表情をしていました。。

その知人を見て思ったんです。「消費税の中間納付を仮決算して納付するって…意外と知らない人達多いんじゃないか?」って。

と、いうことで~今回の内容、かなり状況が特化していますが、特化しているだけに~これに当てはまる会社さんに是非届いて欲しいと心から願っています。

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会社の決算を迎え、決算集計をし、その期に納付した消費税が48万円を超えると、その会社さんは翌期に消費税の中間納付が発生します。

消費税の中間納付っていったいどんなこと?

納付した消費税の額によって、中間納付の回数とそれに伴って中間納付の額が分かれています。

  • 48万円越~400万円以下=年1回の中間納付
  • 400万円越~4800万円以下=年3回の中間納付
  • 4800万円越~ =年11回の中間納付

です。

年1回の中間納付の場合は、前期の決算で納付した消費税の2分の1の額を1回納付します。
年3回の中間納付の場合は、前期の決算で納付した消費税の4分の1の額を3回納付します。
年11回の中間納付の場合は、前期の決算で納付した消費税の12分の1の額です。

消費税の中間納付。「予定申告方式」しか知らない会社さんが多い予感大!!

上記、消費税の中間納付に関する簡単な説明をしました。でも、私が今回の記事で書きたいのは、こういう説明ではないのです。

消費税の中間納付がどんなものか?という、詳細な情報だけをお知りになりたいのであれば、他の色んなサイトにそれらの情報がもっと詳しく載っていますから、そちらをご覧になって下さい(笑)。。

上記に書いた、中間納付額。
これは、前期に納付した消費税の税額を基準にして算出されています。これを「予定申告方式」といいます。予定申告方式で算出された額の消費税を翌期に中間納付出来るのであれば、それが一番シンプルで手間もかかりません。

しか~~し!!
翌期発生する中間納付は、前期納付した消費税の税額が基準。

もし…翌期の事業状況が前期より大きく落ち込んでいたとしたら??
もし…翌期の中間納付の納付期限までに、予定申告方式で算出された額の消費税をそもそも仮受してなかったとしたら??加えて、資金繰りもギリギリだとしたら??

前期に納付した消費税の税額を基準に算出した予定申告方式の消費税の中間納付。翌期の事業状況によっては、納付するお金が足らない可能性もあるんですよね。

なら、どうしましょうか。
お金足りないから、中間納付するの…やめますか?
やめたいですよね(笑)…。。

でも、やめられません。例え”中間”であっても、これは制度として存在しているので、納税の義務が発生しているのです。

「仮決算方式」は、今期の収益ベースで算出します!

そうなんです。

前期に納付した消費税の税額を基準に算出した予定申告方式と違い、「仮決算方式」は、その期の対象期間で「課税売上から課税仕入を差し引いて手元に預かっている分の消費税」を納付するのです。より今の状況に合った納付が出来ます。

消費税をどちらの方式で納付しても、得をするとか損をするとかはありません。

前項で書いたように、あらかじめ税務署から納付額が記載された納付書が送られてくる予定申告方式で納付出来るのなら、それが一番手間はかかりません。

その期が終わって、決算集計をし、確定した消費税が中間納付した分より多ければ、「確定した消費税から中間納付した分を差し引いて残った額の消費税」を納付します。逆に、確定した消費税が中間納付した分より少なければ、多く納付した分の消費税は戻ってきます。

しかし、予定申告方式での中間納付をするだけの消費税をその期で仮受していないとしたら??

例えば。

予定申告方式での中間納付(中間納付は1回)の納付額が160万円だとします。実際にその期の対象期間(半年間)で仮受している消費税が60万円だとします。100万円は仮受していないので、会社の資金から一時的に100万円を使うことになるのです。

それでも、資金繰りが耐えられるのならOKです。決算集計後、確定した消費税から中間納付した分を相殺するのでね。得も損もしません。

では、一時的ながらも100万円を使ってしまうとその後の資金繰りが厳しくなるとしたら…困りますよね?

そういう場合は、仮決算申告方式での納付が資金繰りの助けになる可能性があるのです。

仮決算は「仮」は付いてるけど…”あの決算”をしないといけない??

言葉から受ける印象ってとても強烈ですよね。

私も、一番最初に仮決算という言葉を知った時は…「えー、、途中で決算するの???」って、多分顔がしかめっ面になってたと思います(笑)

ここで言う「仮決算」とは、消費税に関する事だけなんです。1年(1事業年度)ごとに行う、”あの決算”みたいなガッツリした決算ではありません。貸借対照表や損益計算書などを作成し提出する必要もありません。

実際にその期の対象期間で発生した課税売上から課税仕入の差し引きをキチンと計算すれば良いのです。そうすれば手元に残っている消費税額が分かりますから。手元に残っている納めるべき消費税を納めればOKなんです。

提出する書類は、「課税期間分の消費税及び地方消費税の中間申告書」と別表の2枚だけです。

もし、計算して…消費税の納付額がマイナスだったとしたら?中間納付では還付はありません。中間納付額が0円になります。最終的に、1年(1事業年度)が終わり、決算集計をして、そこで消費税がマイナスだったら還付という事になります。

また、簡易課税制度の適用をしている法人さんは、それが適用されている課税期間である場合は、仮決算による中間申告でも簡易課税制度の適用があります。

そして、消費税の中間申告の回数が3回以上となる場合は、全てを仮決算申告しなくてもOKです。例えば、3回の中間納付がある場合は、1回目と2回目は予定申告をして、3回目だけ仮決算申告するでもOKなんです。

中間納付といえども~納付期限に一括納付出来なければ…延滞税が発生する!

消費税の中間納付。中間納付となってますが、それは納税の義務としての納付であるので~納付期限があります。納付期限内に全額納付しなければ、延滞税が発生するのです。。

  • 納付期限から2ヶ月まで…年利2.6%
  • 納付期限から2ヶ月以後…年利8.9%

※2019年現在

なので、納める必要のない延滞税など発生させて欲しくありません!!

消費税の仮決算は誰でも出来るのか!?

消費税の仮決算は、実際にその期の対象期間で発生した課税売上から課税仕入の差し引きをキチンと計算すれば良いので、それなりに手間はかかるとは思いますが、法人の代表者さんや経理担当者さんでも行うことは可能だと思います。

でも、資金繰りが厳しい場合は、仮決算申告で納付した方が資金繰りの助けになる可能性が高いので、その手間は決して無駄にはなりません。

勿論、プロの税理士さんに依頼してもOKです。消費税に関する計算だけなので、本決算のような費用はかからないでしょう。仮決算で納付したいけど、仕事が忙しくて集計する時間が無いようなケースは、税理士さんに依頼するのも確実な選択肢だと思います。

なお、仮決算の申告は、消費税の中間納付申告期限(納付期限とも言えます)までに中間申告書を提出する必要があります。

まとめ:消費税の中間納付に「仮決算申告方式」があるという事を知って欲しい!

私が今回書いた記事の大きな目的。

消費税の中間納付の手段には、予定申告方式の他に仮決算申告方式というのがあるという事を知って欲しい!この1点です。

自分で書いておいて何ですけど…消費税の中間納付に関する詳細な情報や、仮決算についての詳細な情報。これらをチャンと書けているか?!と、問われれば…「書けました!」とは言えません(笑)。。(そして、中間納付は消費税だけではなく、法人税もあります。それはまた別の機会に)

それら詳細な情報だけなら、役所のサイトや税理士さんが書いているブログなどをご覧になれば分かると思うので、あえて「詳細な情報」には執着しませんでした。

とにかく、消費税の中間納付の手段には、仮決算申告方式がある!これを、少しでも多くの法人の代表者さんなり、経理担当者さんに、事前に知って欲しいんです。そう、事前にです。

事前に知りさえすれば、後は詳しい事を調べればいい。事前に知らなければ…選択肢として利用出来ませんからね。

今回の記事の冒頭にも書きましたが、私の知人の独り法人さんで3ヶ月前に起こった実際の話がまさにそうでした。

税務署から送られてきた消費税の中間納付額が記載された納付書に対して、その税額を納付するしか無いと。そう、予定申告方式での納税ですよね。私の知人は、その税額を納付するだけの消費税を今の期で仮受してないし、資金繰りも厳しく全額納付は難しいから、分割して貰おうと税務署へ分割の交渉に行ったのです。

税務署は分割の相談に応じてくれましたが、そこで延滞税が発生する事や、分割する回数によって分割申請する形も変わってくる事を知らされます。

もし、事前に消費税の中間納付を仮決算申告方式で納付出来ると知っていれば、消費税の延滞税が発生する事もありませんでした。分割のお願いをしに何度も税務署へ行く必要もありませんでした。

私が、知人からその話を聞いたのがつい最近でした。そこで、仮決算の事を伝えたんです。彼の「そんなのがあったのかーー」と言った、悔しそうな顔が忘れられないです。

彼は独り法人なので、顧問の税理士はいません。こういう事って、プロ(税理士さんや会計士さん)でないと知らない事の1つかもしれませんよね。私は税理士ではありませんが、仕事柄たまたま知っていました。

因みにですけど。
消費税の中間納付として、税務署から予定申告方式で計算され、郵送される納付書。納付書に同封されている用紙に「仮決算」という言葉が記載されているのです。しかし…字がとてつもなく小さいし(笑)、、あれに気付く人が一体どれくらいいらっしゃるのか??という印象ですね。。

今回、知人の独り法人に起こったこの件。多分、日本各地で同じような状況になっている法人さん(特に独り法人さん)って、少なくないのでは。。と思っています。

少しでも多くの法人の代表者さん、経理担当者さんに、この記事が事前に届くのを強く願っています。