従業員が所有する自家用車を仕事で使った場合、その諸費用は経費で落とせるのか?

今回は、従業員さんがいらっしゃる法人で、従業員さんが所有する個人名義の自家用車を、その従業員さんが仕事で使用した場合、各種費用を経費で落とせるか?について、書いてみたいと思います。

以前、自家用車を仕事に使用する件について、独り法人の代表者さんに向けて、代表者さんが所有する自家用車を仕事で使用した場合の記事を書いたことがありました。

仕事に利用している自家用車、維持費は経費で落とせるの?

今回は、従業員さん所有の自家用車についてという事になります。

さて、どうなんでしょうか。

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従業員さん所有の自家用車を仕事で使用する場合の大前提として!

「従業員が所有する自家用車を仕事に使用する事を会社が知っていて、それを認めている」

まず、これが前提になると思います。

その上で話を進めていきますね。

ガソリン代、駐車場代は経費で落とせる?

仕事で使用した分のガソリン代や駐車場代は、それぞれのレシートや領収書があれば、経費で落とすことは可能でしょう。

駐車違反の罰金、経費で落とせる?

これ…全く嬉しい事態ではないですが、駐車場が近くにあって駐車出来るにもかかわらず、駐車しないで駐車違反の切符を切られてしまったとしたら。仕事に使用していた中で発生したことではありますが、、微妙な感じしますよね。。

なので、車から降りてどこかへ行く場合には、必ず駐車場に停める。勿論、それにかかる駐車代は経費で落とす。こういう確認を従業員さんと事前に交わしておくべきですね。

1時間くらいの駐車であれば、駐車違反で罰金を徴収されることを思えば、駐車代を支払ったほうが圧倒的に安いでしょうから。

それに、駐車違反で切符を切られたら…従業員さんの免許の点数が引かれてしまいますしね。その時点で無事故無違反だった場合、その駐車違反で次回の免許証更新が勿体無いことになってしまいます。

従業員さんと上記に書いたような事前の確認をした上で「それは…仕方ないね」って、代表者さんが渋々ながらでも納得出来る状況で駐車違反の切符を切られてしまったんであれば、、駐車違反の罰金を会社で出してあげてもいいのかなと思います。

これは、その会社の代表者さんの裁量によりますね。

駐車違反の罰金って、経費として計上出来るのか?!

えっとですね、、
これね、経費としては落とせないんですよね><。。

なぜかっていうと、罰金って本人が違反をしてそれを反省・改善してもらうために支払わせるお金ですよね。

一方、経費というのは、会社として売上や利益を得るために使ったお金です。

会社が得た利益から経費が差し引かれるので、その分の利益が減ります。1事業年度ごとに行う決算では、その会社が得た1事業年度の利益から法人税が計算されます。

ここで「あ、なるほどね^^;」って気付かれた方もいらっしゃるかもですね。

そうなんです。交通違反をして反省するために支払った駐車違反の罰金を経費で計上するという事は、その罰金分だけ利益が減り~それによって算出される法人税も減る。ということになりますよね。

税金を徴収する側(税務署)は、それを認めていないのです。まー、、そう言われれば確かに…ってなりますけどね。。

では、会社が罰金を持ってあげることは出来ないのでしょうか?

その1:「損金不算入」という処理を行うことが可能です。

会社のお金から、駐車違反の罰金分を従業員さんに支払ってあげます。

そして「租税公課」とか「雑費」で、一旦計上します。会社のお金が減ったので、ここは費用項目を付けて計上しておく必要がありますよね。

そして、決算の時期がやってきます。

その時に行う処理が「損金不算入」です。

経費って言葉は、会計上の用語です。ま、日常私達がよく使う用語でもあります。前項に書きましたが、会社として売上や利益を得るために使ったお金を指してます。

損金って言葉は、税法上の用語です。これ、経費として計上したお金を利益から差し引いてもOKなお金。っていう意味の用語なんです。利益から経費を差し引いた分から法人税が算出されるので、差し引かれた経費の金額分、法人税が減るワケですよね。ってことは、その分法人税の徴収が減ることになります。税金を徴収する側(税務署)がそれを認めているお金。ということなんです。

会社としては、仕事で使用した経費ですから、それぞれの科目(**費)を付けて計上する必要があります。しかし、計上した経費の全額が必ずしも利益から差し引ける「損金」となるか?は、また別なんですよね。

上記を踏まえて話を進めますね。

「租税公課」とか「雑費」で計上した駐車違反の罰金は、決算時に一旦は利益から差し引かれます。しかし、その後~決算集計の中で、罰金のお金だけ利益に含める処理をするんです。「利益から差し引いた”経費”の中から、罰金分だけは”損金”に算入しないよ」という処理です。これが、損金不算入です。

この処理をすれば、罰金分は損金として計上されてないので、罰金分のお金は利益に含まれて、法人税の算出対象になるんです。

決算の集計作業を代表者さん自身がされているのであれば、この点を忘れずに処理する必要があります。

税理士さんに決算の集計作業を依頼する場合は、この点を税理士さんにお伝えして下さい。

※この項で書いた、「経費」と「損金」について、詳しくお知りになりたい場合は、以前この件について書いた記事があるので、ご覧になって下さい。

「費用」「損金」「経費」の意味と違いって?わかりやすく徹底解説!

です。

その2:従業員の給与に含めて支給することが可能です。

発生した罰金を、従業員が自腹で納めます。

そして、従業員に支給する給与に罰金分を含めてあげるやり方がこれです。何かの手当名目とかになるんでしょうか。…お手柄という意味の手当ではありませんけどね。。

こうするとどうなるか。

その従業員さんの給与が増えるので、含めた罰金分は所得税の課税対象になります(笑。。仕方ないですよね。。

ということは、所得が増えた分、翌年の住民税や保険料や年金(国民年金は定額なので除く)の額にも反映されますので、この点は従業員さんにお伝えしておくべきでしょう。

※因みに、代表者さんの場合は不可です。代表者さんは給与ではなく役員報酬です。役員報酬は月額が固定されているので、単発で別途お金を含めることが出来ません。

車の維持費用は経費で落とせる?

ここでいう維持費用とは、タイヤ代・ファンベルトの交換代・故障が発生した際の修理代、などを指します。

これらの費用については、従業員さん所有の自家用車を、どれくらいの頻度で仕事に使用しているかによるでしょうね。

仕事に使用している頻度が、週1とか月に2~3回だとしたら、ちょっと難しいような気がします。その使用頻度であっても、仕事以外では全く車を使っていないのであれば、また話は変わってくるかもですけど。

日常の業務で、基本~毎日使用していて、しかも相当数の距離を走っている場合。こういうケースであるなら、一定の割合分を会社で負担してあげるのは、ダメではないと思います。

まとめ:従業員さんと事前に取り決めをしておくのをお勧めします!

この記事をご覧になったのが、すでに従業員さん所有の自家用車を仕事に使用されているとしたら、そして、今回書いた内容についての確認をされていないとしたら、なるべく早くされた方が良いと思います。

特に維持費用とかは、かかるケースによっては大きな金額になることもあるでしょうから。会社が認めた中での使用であれば、そういう事態を想定しておくことも必要かなと思います。