以前、社会保険と国民保険についての記事を書きました。
この時のテーマは、「ひとり法人にとって社会保険、国民健康保険、国民年金のどれがお得か?」ですが、今回は更にフォーカスを絞った内容です。
年金機構から社会保険への加入催促が来た時、どうように対応するべきか?です。
法人を設立して3期目過ぎたくらいでしょうか、年金機構から社会保険の加入に関する郵便物が届くケースが多いです。
以前書いた記事に載せていますが、設立した法人が社会保険の加入条件を満たしている場合は、社会保険に加入する”義務”があるんです。そう、「あなたの会社、社会保険にも入れるよ~」という、国民保険と社会保険、どっちか選択して下さい~!ではなく…です。
では、社会保険の加入条件を満たしていない場合、満たしている場合、それぞれのケースごとに年金機構への対応方法を書いていきたいと思います。
まず、社会保険の加入条件を確認しておきましょう~
社会保険の加入条件は、下記の通りです。
- 役員を含む従業員がいる法人
- 役員に報酬を出している法人
- 常勤の従業員に給与を支給している法人
- 一定の条件を満たしているパートに給与を支給している法人
上記、一番下に記載した「一定の条件を満たしているパート」、”一定の条件”とは何か。
下記がそれになります。
- 週の労働時間が20時間以上
- 支給している月の賃金が、8.8万円以上
- 雇用期間が1年以上。または、そうなる見込み
- 従業員数が501名以上(厚生年金の被保険者数)の法人
- 学生でない(学生でも加入出来る場合あり。夜間や定時制など)
これらの条件を満たしているパートさんも、社会保険の加入対象となります。
これを踏まえて、更に話を進めていきましょう。
あなたの法人が社会保険の加入条件を満たしていない場合の対応の仕方
主に下記の方法になると思います。
- 年金機構からの郵便物に同封されている書類に記載して返送する
- 管轄の年金機構に、社会保険の加入条件を満たしていない旨の記載をした書類を郵送する
- 管轄の年金機構に電話して、社会保険の加入条件を満たしていないことを伝える
- 管轄の年金機構に行って、社会保険の加入条件を満たしていないことを説明する
それぞれ、項目ごとに書きますね。
年金機構からの郵便物に同封されている書類に記載して返送する
一番手間のかからない手段が、これだと思います。
現状、あなたの法人が社会保険に未加入で、設立後3期を過ぎているとしたら、年金機構から社会保険の加入に関する郵便物が法人宛てに送られてくると思います。
一番初めに送られてくる郵便物は、いきなり「社会保険に加入しろ!」という内容ではありません。「貴方の会社、どんな状況ですか?」という内容です。
何枚かの用紙が同封されていて、先頭の用紙は「社会保険の加入条件を満たしている法人は社会保険に加入する義務があります」というような内容だと思います。
同封されている用紙の中に、法人の近況を記載する用紙が同封されていると思います。そこには、法人の基本情報(所在地、代表者名、電話番号、設立年月日、事業の内容、従業員数、など)、報酬・給与の支給の有無。などを記載する欄があります。
あなたの法人の近況がどうであるかの記載をします。
あなたの法人が社会保険の加入条件を満たしていなければ、この用紙に記載することで、それが分かります。
その用紙に記載したら、年金機構から送られてきた郵便物の中に返信用の封筒が同封されてると思うので、それに封入し返送します。
一先ずは、これでOKです。
返送した用紙に関して、年金機構が確認したい事や不明に感じる事があれば、更に郵便物が送られて来るかもしれませんが、その時はそれに返答してあげればOKです。
この段階で年金機構から電話で確認されることはないと思いますが、もし電話がかかってきた場合は、年金機構の担当者に答えてあげればOKです。
管轄の年金機構に、社会保険の加入条件を満たしていない旨の記載をした書類を郵送する
年金機構から、あなたの法人宛てに社会保険の加入に関する郵便物が送られてきたものの、前項に書いた「法人の状況を記載する用紙」が無かったり、紛失してしまった場合は、「当社の事業に関する近況書」というタイトルで、あなたが独自に用紙を作成してもOKだと思います。
作成する用紙に、下記の記載をして。
- 法人名
- 法人所在地
- 電話番号
- 代表者名
- 設立年月日
- 資本金
- 事業内容
- 従業員数(パート含む)
- 従業員の内訳と人数
- 役員報酬・給与の支給の有無
これらを記載し、管轄の年金機構へ郵送することで、その内容が社会保険の加入条件を満たしていない事が確認出来れば、一先ずはOKだと思います。
ただ~し!
お役所って、、規定の書式の用紙に書いて提出してもらう事が大切!ってトコがあるじゃないですか~(笑!
せっかく、独自に作成して郵送したのに~規定の用紙を郵送してきて、それにまた同じような記載をして返送することになったら・・面倒臭いですよね。。
なので、その恐れが大かな?!って思われるようなら、管轄の年金機構に直接電話して伝えてしまう方が早いかもしれません。
管轄の年金機構に電話して、社会保険の加入条件を満たしていないことを伝える
前項の最後に書いたのとダブってしまいますが、管轄の年金機構に電話して、社会保険の加入条件を満たしていないことを伝えるのもアリでしょう。
年金機構から送られてきた郵便物が手元にあるなら、管轄の年金機構の電話番号と担当者の名前が記載されていると思います。
そこに電話し、あなたの法人が社会保険の加入条件を満たしていない事を担当者に伝えます。そこで、確認が取れれば一先ずはOKでしょう。
年金機構から送られてきた郵便物に、あなたの法人を特定する番号が記載されているので、電話した際に担当者からその番号を聞かれるはずです。それも伝えてあげて下さい。
尚、年金機構の電話番号は、代表番号です。担当部署と担当者名を伝えて、繋げてもらって下さい。
管轄の年金機構に行って、社会保険の加入条件を満たしていないことを説明する
これは、結構手間のかかる対応手段になりますね。
基本的には、前項に書いた内容と同じです。管轄の年金機構に電話して伝えるというのを、電話ではなく直接赴いて行うということです。
但し、いきなり行くと、待たされてしまったり、担当者が不在だったりするので、事前に電話で予約してから行くことをお勧めします。
そうなんですよね。。
事前に電話するなら…その電話で伝えればいいじゃないか。ってことになります(笑。。
なので、手段の1つではあるものの、直接行く必要はないように感じますね。
年金機構の担当者は、社会保険未加入の法人を複数抱えています。
担当している法人が社会保険の加入条件を満たしていない事を確認すれば、その時点で加入催促の対象から外れます。
なので、社会保険の加入条件を満たしていないのであれば、なるべく早くその事実をお伝えするのがお互いにとって良いです。
あなたの法人が社会保険の加入条件を満たしている場合の対応の仕方
社会保険の加入条件を満たしていて、社会保険に加入するのであれば、年金機構に「社会保険に加入するので、必要書類を送ってくれ」という内容の用紙を書いて郵送するか、電話して、加入する必要書類を送ってもらうよう伝える。ですね。
年金機構からの郵便物が2通目以降になると、社会保険に加入する必要書類が同封されているケースが多いので、それを使うのもアリです。
年金機構のWEBサイトから、必要書類の用紙をダウンロード出来ると思います。
郵送で加入の申し込みをする場合は、直近3ヶ月以内の登記簿謄本を原本で添付提出する必要があるので、登記簿謄本を用意して下さい。
因みに、年金機構へ直接行って加入申し込みする場合は、提出する登記簿謄本はコピーでOKです。
社会保険の加入条件を満たしている法人が、加入の免除は出来るのか?
社会保険の加入条件を満たしているのであれば、加入は義務なので免除されることはないです。
でも、社会保険に加入することで会社の資金繰りが厳しくなってしまうとしたら。もっと言えば、それで資金がショートしてしまうようなことになるとしたら。。
社会保険への加入を躊躇してしまいますよね。
年金機構の担当者さんに状況を伝え、一定期間加入を猶予してもらう
先程も書いたように、社会保険の加入条件を満たしている場合は、加入の免除はありません。
加入するまで、年金機構から催促の通知や電話が来ることになります。義務である以上、、仕方がないことでもあります。
その状態を放置しておくのは、個人的にお勧め出来ません。なぜなら、、鬱陶しいでしょ?ずっと催促されてるのって。。。
社会保険に加入するのが厳しい状態であれば、一度管轄の年金機構へ行って担当者さんに相談してみては如何でしょうか?
相談といっても、担当者さんの基本姿勢は「義務なので加入して下さい」です。担当者さんもそれが仕事なので、しょうがないですよね。
その基本姿勢は変わらないながらも、社会保険に加入したことでその法人が資金ショートして倒産することを、年金機構として望んでいる事ではないと思います。
なら、どうしましょうか。
社会保険の加入条件を満たしているのであれば、加入するのが義務である。まず、これを受け入れざるを得ません。
加入出来る状況であれば、加入したい。ここから話を始めないと…恐らく両者は平行線を辿るだけになってしまうでしょう。
平行線を辿っているのであればまだマシで、年金機構側が強制的に加入の手続きに踏み切らないとも限りません。ま、、ここまでするのは余程の事だと思いますけど。
加入の意思はありつつも、今加入する事が叶わない事を誠意を持って伝え、一定期間の猶予をもらう。その間は法人から定期的に状況の報告などをする。とか。。
この一定期間の猶予というのは、その先に社会保険に加入する。という前提になると思います。でないと、恐らく担当者さんも相談には乗ってこないでしょう。
これは、その担当者さんによって、話の展開も大きく違ってくるかもしれませんが、年金機構から加入の催促通知が来て、ある程度日にちが経っているのであれば、放置せず交渉してみる方が良いのではないかと思います。
義務である社会保険の加入が免除される事はありません。加入条件を満たしている状態である以上は。
あなたの法人が独り法人であるなら。そして、代表者であるあなた自身が国民保険(健康保険と国民年金)に加入しているのであれば。法人の資金状態と報酬額によっては、社会保険に加入する工夫が出来る可能性もあると思います。
その1つの手段として、以前書いた記事が参考の一助になるかもしれません。一度ご覧になってみて下さい。
まとめ
今回の記事は、当サイトをご覧になって問い合わせして下さった方の内容がきっかけになっています。
その方は、社会保険の加入条件を満たしていない状態でした。それをどうやって証明すればよいか?という問い合わせを頂いたのです。
年金機構の担当者さんは、社会保険未加入の法人を複数抱えています。
その法人が加入条件を満たしていないと分かれば、それまで催促や通知が来てたのがウソみたいに、止まると思います。
但し?
社会保険の加入条件を満たしていないという事で、その時は加入催促が止まったとしても。また一定期間(数年後?)が経ったら、社会保険の加入に関する状況確認の連絡が郵便物で来るかもしれません。
どこの法人も組織も機構も、
いや…自治体も国も、原資を集めるのに必死ですね^^;