先日、とある方から「海外(アメリカ)にいる友人が会社を経営してて、日本の法人と取引してるんだけど、費用を日本へ送金する時に送金先を間違えて、組戻しするのに結構大変だったらしい」という話を聞きました。
海外送金については、以前に日記で書いたことがありましたね~。
海外の取引先から送金(入金)される時、スムーズに受け取るための処置とは!?
そう、海外の法人と取引している小規模法人や個人事業主って、皆さんが思っている以上に多いんですよね~。
冒頭の話は、海外の法人が日本の法人へ送金する際に発生した誤送金です。なので、この日記が直接役立つのは・・・海外で法人を経営されている方??
いやいや!!
そんな事はありません。
知っていて損はナイ!
ま、読んでみて下さい。どっかこっか「へぇ~」って思えるトコがあるかもしれませんからね。
海外送金の組戻しって、実はそう簡単ではナイのです!
そうなんです。ナゼなら…
「銀行は送金代理業である!」からです。
あ、その前に。
「組戻し」という言葉の意味ですが、『振込手続完了後、内容に誤りがあった、または振込を取消したい、など、送金元(依頼人)の都合でその振込を取消す依頼をする手続き』です。
さて。
銀行は、取り扱う送金のお金については、お金を送りたい送金元(依頼人)とお金を受け取る送金先(受取人)の代理を行っています。
銀行は、送金元(依頼人)から預かったお金は、受取人へ即渡したい!が、本音です
以前の日記に書きましたが、海外の銀行から日本国内の銀行にお金が届いた際、お金が届いた銀行は、受取人となる対象者に諸々確認を取ります。
この確認、受取人となる対象者へお金を渡すという前提でしています。なので確認が取れれば受取人の口座へ即入金します。
銀行は送金を代行している機関なので、送られてきたお金は全て受取人へ渡したいのです。(そのお金が正当な取引によるものであり、違法性が無い。というのは言うまでもありません)
そういう役割と意思を持った銀行という金融機関です。
一度送金処理したお金を「送金先を間違えたから、こっちに戻してくれ!」と言って、「はいはい~!かしこまりました~!」と二つ返事で戻してくれる。というワケにはいかないのです。
では、組戻しは叶わないのか?!
迅速かつ正当な手続きをすれば、組戻しが叶う可能性はあります。
組戻しの手続き その1 誤送金した事実を送金元(依頼人)自身の銀行へ連絡する!
冒頭に書いた話ですが、送金した海外法人の銀行(銀行も同様に海外銀行)はネットバンキングを利用したそうです。
自力でキャンセル処理出来る手段は?!
銀行によって利用内容に違いがあるので、一概には言えませんが、ネットバンキングで送金処理をセットした場合、セット後30分以内ならネットバンキング内で送金のキャンセル処理が出来たりします。重ねて書きますが、これは海外の銀行についてです。
それら自力で間違えた送金処理をキャンセルする手段を失った場合は、即銀行(海外送金の担当部署)へ連絡します。
銀行へ連絡する場合
銀行も一般の会社と同様に各担当部署があります。今回の場合は、送金(振込)であり、加えて海外送金なので、海外送金の担当部署へ連絡します。
直通の電話番号が不明な時は、代表番号に電話して海外送金の部署に繋いでもらいます。
※この際、銀行によっては国内送金担当と海外送金担当で、受付開始時間が異なる場合もあるので、よく確認して下さい。
担当部署に電話が繋がったら
誤送金した事実と、送金キャンセルをしたいという意向を伝えます。担当者は、電話してきた人物がその銀行のユーザーである事を証明する確認をします。銀行の担当者が必要な項目を質問してくるので、それに答えます。
- 自身の名前(会社名と代表者名)
- 口座番号
- 口座の届け住所
- 口座の届け電話番号
- 送金日と送金額
⇒電話しているのが代表者以外の人物なら、電話している人物の名前も伝える。
⇒送金額は$(ドル)で送金していれば$の金額、円建てで送金していれば円の金額。
上記の項目は必ず聞かれると思います。銀行によってはその他に聞かれる項目があるかもしれません。
確認が終われば、銀行担当者が該当する送金の事実と状況を確認します。(※もし、お金が銀行を出ていなければ、その時点で送金処理がキャンセルされるので、これが一番助かります。要するに送金元の銀行で処理が完了するので)
すでに銀行から送金処理が完了していて、送金先の銀行へお金が向かっている場合は、銀行担当者が送金先の銀行へキャンセル依頼の通知をしてくれます。
ここで、送金した銀行への連絡と処置は一先ず終わりになります。
という事は・・・?!
これで誤送金してしまったお金は組戻しされるのか?!
いや、、この状態では組戻しされません。
これはまだ第一段階です。
組戻しの手続き その2 誤送金した事実を送金先(受取人)と送金先の銀行へ連絡する!
送金したお金が送金先の銀行から組戻しされるには、大きな前提があります。
それは・・・
「受取人がそのお金を送金元へ組戻しする事を了承している」です。
銀行は、お金の送金を代行している機関なので、送金元(依頼人)が送金処理をしたお金については、送金先(受取人)へ送ります。そして、お金が届いた銀行は諸々確認をした後、受取人の口座へ入金します。
例え、誤送金だとしても…送金先(受取人)の情報が合致していて、受取人が「口座へ入れて下さい」と言えば、銀行は受取人の口座へ入金します。
銀行は、誤送金しているかどうか?は、当事者から連絡でも無ければ判断出来ないし、勝手に差配もしないのです。(※入金時の確認で、事件性や違法性を感じた場合は口座への入金を保留にする事はあります)
なので~!
- 間違って送金してしまった送金先の会社なり個人に、誤送金してしまった事実を連絡する
- 銀行から送金到着の連絡が入ったら「送金元が誤送金したお金なので、送金元へ組戻しして下さい」という旨の返事を、銀行担当者へ伝えて頂くようお願いする
という連絡&お願いを誤送金した送金先(受取人)にします。重要なのは、誤送金してしまった送金先(受取人)の方に組戻しを了承してもらう事です。
誤送金された送金先(受取人)の方が組戻しに了承してくれれば、銀行はその意向を受けて送金元の銀行へお金を返送してくれます。(※銀行によっては、組戻しするにあたってその支店へ赴き、直接確認を求めてくる場合もあります)
そう、組戻しが成立するワケです。
では、これで組戻しは完全に完了なのか?!
ほぼ完了ですが、念のため~もう一段階書いてしまいます!
組戻しの手続き その3 誤送金した事実を送金先(受取人)の銀行へ連絡する
誤送金してしまった場合、送金先(受取人)の方が組戻しを了承してくれれば、組戻しはほぼ叶うのですが、その際、銀行との確認や組戻しの意向を伝えるなど、誤送金先(受取人)の方に不要な手間をかけてしまいますよね。
もし、誤送金先の銀行に着金する前であれば、その不要な手間をおかけせずに済む可能性があります。
送金元(依頼人)が送金先(受取人)の銀行へ連絡して、誤送金した事実と送金した内容や情報を伝えます。
「組戻しの手続き その1」で、送金元(依頼人)自身の銀行へ連絡した際に、誤送金先の銀行へキャンセル依頼をしてもらっていますよね。それが誤送金先の銀行に間違いなく通知されていれば、尚更良いと思います。
誤送金した送金先の銀行へ着金する前に、上記の連絡をすれば、そのお金が銀行に着金した時、送金先(受取人)への確認免除で組戻しが叶う可能性があります。
そう、可能性があるという事です。銀行によって対応は違うと思いますので、そこはそれぞれ確かめる必要がありますね。
※海外送金は、送金元となる国や地域にもよりますが、送金処理完了後、大体3日~5日くらいで送金先の銀行へ到着すると思います。
まとめ
今回の日記、如何だったでしょうか?結構長文になってしまいましたね。
私、チャンとお伝え出来ていればいいのですが。
組戻しというのは、送金先(受取人)の口座に入金される前の処理ですから、送金先(受取人)の口座に入金された後だと、銀行は組戻しという処理は出来ません。一旦口座へ入ったお金を銀行が勝手に抜けないので。
その場合は…受取人の方が送金元の銀行へ海外送金するという事になりますよね。そうなれば、振込処理そのものは勿論、振込手数料もかかるので、かなり迷惑をお掛けする事になります。
とは言え、、通常…身に覚えのないお金が海外から届いたとしたら、、多くの方々が一旦保留の状態にすると思います。
今回の件は、送金元がすぐに誤送金に気付いて各所へ連絡をしたようですが、万が一誤送金した送金先(受取人)の方から「あのぉ、、御社から今日送金が弊社にあったのですが、、これはナンのお金でしょうか??」な~んて連絡を受けないようにしたいですよね。
海外送金も、国内の振込も、送金先と送金金額にはくれぐれも間違いの無いよう、十分に気を付けて処理して下さいね。